令和3年3月5日に「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」が国会に提出されました。
法律案提出の理由は「情報通信技術の進展に伴い取引デジタルプラットフォームが国民の消費生活にとって重要な基盤となっていることに鑑み、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に関し取引デジタルプラットフォーム提供者の協力を確保するため、取引デジタルプラットフォーム提供者による消費者の利益の保護に資する自主的な取組の促進、内閣総理大臣による取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請及び消費者による販売業者等情報の開示の請求に係る措置並びに官民協議会の設置について定める必要がある。」とされています。
法律案の概要は以下の通りとなっています。
(1)取引DPF提供者の努力義務(第3条)
①販売業者と消費者との間の円滑な連絡を可能とする措置②販売条件等の表示に関し苦情の申出を受けた場合における必要な調査等の実施③販売業者に対し必要に応じ身元確認のための情報提供を求める
(2)商品等の出品の停止(第4条)
(3)販売業者に係る情報の開示請求権(第5条)
(4)官民協議会(第6条~第9条)・申出制度(第10条)
オンラインモールなどデジタルプラットフォーム(DPF)を介した電子商取引のトラブルは少なくありませんが、DPFはあくまで「場」を提供しているだけであるとして、紛争解決のための役割を果たしてこなかったように思われます。当職も、大手のアプリ提供サイトを介してサクラサイトと思われる「出会い系サイト(マッチングアプリ)」により短期間に高額の支払いをさせられた事案に接しましたが、販売業者の特定にも困難しましたし、アプリ提供サイトの運営会社への連絡自体にも困難がありました。本法案はDPF取引の適正化を実現するための第一歩となるものと思われます。