令和4年3月1日に消費者契約法改正法案(消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案)が国会に提出されました。
法案の提案理由は,「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を更に図るため,契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型を追加する等の措置を講ずるとともに、被害回復裁判手続の対象となる損害の範囲を拡大する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」とされています。
追加される契約の取消権には,
・ 勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘
・ 威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害
・ 契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難に
した場合の困惑取消権が掲げられていますが,つけ込み型勧誘の取消権などは見送られています。
また不当条項として免責の範囲が不明確な条項の無効(第8条第3項)だけが追加されています。
成年年齢の引き下げが目前と迫る中,極めて不十分な改正に留まっている点は非常に残念です。国会の審議において,大規模な修正が目指されるべきですし,あるいはさらなる拡充のための改正に直ちに着手すべきです。