【新民訴204条】
(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
第204条
裁判所は、次に掲げる場合であって、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる。
一 証人の住所、年齢又は心身の状態その他の事情により、証人が受訴裁判所に出頭することが困難であると認める場合
二 事案の性質 、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合
三 当事者に異議がない場合
【要綱案】(注) ウェブ会議等により証人尋問を行う場合における証人の所在場所については、最高裁判所規則において、これを受訴裁判所又は他の裁判所に限定する民事訴訟規則第123条第1項及び第2項を見直し、裁判所以外の場所に証人を所在させることを認 めることとした上で、部会のこれまでの議論も踏まえ、その際の所在場所の要件を定めるものとする。
【改正前民訴法】
【改正前民事訴訟規則】
(映像等の送受信による通話の方法による尋問・法第二百四条)
第123条
1.法第二百四条(映像等の送受信による通話の方法による尋問)第一号に掲げる場合における同条に規定する方法による尋問は、当事者の意見を聴いて、当事者を受訴裁判所に出頭させ、証人を当該尋問に必要な装置の設置された他の裁判所に出頭させてする。
2.法第二百四条第二号に掲げる場合における同条に規定する方法による尋問は、当事者及び証人の意見を聴いて、当事者を受訴裁判所に出頭させ、証人を受訴裁判所又は当該尋問に必要な装置の設置された他の裁判所に出頭させてする。この場合において、証人を受訴裁判所に出頭させるときは、裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所以外の場所にその証人を在席させるものとする。
3 前二項の尋問をする場合には、文書の写しを送信してこれを提示することその他の尋問の実施に必要な処置を行うため、ファクシミリを利用することができる。
4 第一項又は第二項の尋問をしたときは、その旨及び証人が出頭した裁判所(当該裁判所が受訴裁判所である場合を除く。)を調書に記載しなければならない。
【コメント】
ウェブ会議等により証人尋問をする規定は改正前204条においても設けられていますが、民事訴訟規則により証人の他の裁判所への在廷が求められています。改正法やこれを受けた規則ではこの在廷要件を廃止することが前提とされていますが、証人尋問が公正に行われるための環境をどのように確保するかは慎重に検討すべきと思われます。また証人尋問は裁判官の面前で交互尋問のもとで行われてこそ真実の解明につながると信じたいところであり、あくまで在廷での証人尋問が原則であるべきではないかとも考えます。