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【改正消費者契約法】解約料の説明の努力義務(9条2項)

改正消契法

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)

第9条

1 <略>

2 事業者は、消費者に対し、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項に基づき損害賠償又は違約金の支払を請求する場合において、当該消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠(第十二条の四において「算定根拠」という。)の概要を説明するよう努めなければならない。

 

 

(損害賠償の額を予定する条項等に関する説明の要請等) 

第12条の4

1 適格消費者団体は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項におけるこれらを合算した額が第九条第一項第一号に規定する平均的な損害の額を超えると疑うに足りる相当な理由があるときは、内閣府令で定めるところにより、当該条項を定める事業者に対し、その理由を示して、当該条項に係る算定根拠を説明するよう要請することができる 。

2 事業者は、前項の算定根拠に営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。 )が含まれる場合その他の正当な理由がある場合を除き、前項の規定による要請に応じるよう努めなければならない。  

 

改正前消契法

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分
【コメント】
 消契法9条2項1号は,平均的損害の額を超える損害賠償の額を予定する条項又は違約金を定める条項は,超える部分について無効としています。もっとも,「平均的損害の額」の立証責任は消費者側にあるとされているところ(最判平成18年11月27日),消費者において当該事業者の平均的損害を立証することは容易ではありません。平均的損害の立証責任の転換あるいは立証の負担軽減の必要性はかねてより議論がなされてきたところですが,今般の改正法では,事業者の説明の「努力義務」の新設に留まりました。また適格消費者団体に対する算定根拠の説明努力義務も定められました(12条の4)。この規定が機能しない場合には,努力義務ではなく法的拘束力のある義務の導入が求められます。

三 一の検討の際には、「平均的な損害」の額に係る立証責任の転換を含め、消費者契約に関する検討会の報告書において将来の検討課題とされた事項等について引き続き検討すること。

五 消費者契約法第九条第二項の算定根拠の概要の説明については、請求されている損害賠償又は違約金が平均的な損害の額を超えているか否かについて消費者が理解し得るような説明を事業者がすべきことを周知すること。 

六 消費者契約法第十二条の三から第十二条の五までに関し、内閣府令で要請の方法を定めるに当たっては、適格消費者団体が過度の負担を負うことがないようにすること。

三 一の検討の際には、消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費 者を勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)の創設について検討するとともに、「平均的な損害」の額に係る立証責任の転換を含め、消費者契約に関する検討会の報告書において将来の検討課題とされた事項等について引き続き検討すること。

五 消費者契約法第九条第二項の算定根拠の概要の説明については、請求されている損害賠償又は違約金が平均的な損害の額を超えているか否かについて消費者が理解し得るような説明を事業者がすべきことを周知すること。 

六 消費者契約法第十二条の三から第十二条の五までに関し、内閣府令で要請の方法を定めるに当たっては、適格消費者団体が過度の負担を負うことがないようにすること。