令和4年11月18日に消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案が国会に提出されました。
消費者契約法については4条3項6号について「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げること。」と改正した上で,取消権の行使期間を改正される4条3項6号に限り,追認が出来る時から3年,契約締結の時から10年に延長するものです(7条1項)。
現行法は「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。」と定めています。 「当該消費者」だけでなく「その親族」の重大な不利益も対象とし,また「不安をあお」るだけでなく,「不安を抱いていることに乗じ」ると不安につけ込むことについても対象とし,さらに取消期間を伸張する点では被害救済を拡大しているようにも思えますが,他方で,消費者契約を締結することが「必要不可欠である旨を告げる」など制限的な文言も付加されています。引き続き要件が制限的であり,取消権が実効的に行使できるようには残念ながら思われません。また,つけ込み型勧誘一般の取消条項の創設なども今回も実現しておりません。消費者契約法は消費者契約の一般的なルールを定める法律であるところ,近時の改正は,行政取締法規のように条文が長く,要件が細分化され,取消権が行使しにくいきらいがあります。消費者契約法では,一般的・包括的な取消ルールを定めるのが望ましいと考えます。今後の国会審議でよりよい法改正となることを願います。