最判昭和54年2月15日は一般論としては「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指 定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物と して譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である」としつつ、「継続的倉庫寄託契約に基づき寄託中の食用乾燥ネギフレーク四四トン余りのうち二八トンを債務の譲渡担保とする」という定め方について、「在庫を確認したにとどまり、その後処分のため引き渡された乾燥ネギフレークの大部分は債務者の工場から直送され、残部も債務者が受け出して債権者に送付したものであるなど判示の事実関係のもと」では、寄託中の乾燥ネギフレークのうち二八トンを特定して譲渡担保に供したものとはいえないと判示している。
最判昭和62年11月10日は「構成部分の変動する集合動産であつても、その種類、所在場所及び量 的範囲を指定するなどの方法によつて目的物の範囲が特定される場合には、一個の 集合物として譲渡担保の目的とすることができるものと解すべきであることは、当 裁判所の判例とするところである(昭和五三年(オ)第九二五号同五四年二月一五 日第一小法廷判決・民集三三巻一号五一頁参照)」とた上で、「目的動産の種類及び量的範囲を普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、また、その所在場所を原判示の訴外 会社の第一ないし第四倉庫内及び同敷地・ヤード内と明確に特定しているのである から、このように特定された一個の集合物を目的とする譲渡担保権設定契約として効力を有するもの」とした。
なお、さらに本判決は構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができるとしている。