1号機ではHPCIのテストライン運転がされていた

 東電の福島原子力事故調査報告書 別紙2(主な時系列)(PDF 3.22MB)によると「1号機の運転員は,原子炉注水が必要になるまで HPCI をテストライン2で運転することを考え,一旦当該ラインを構成したが,原子炉水位は安定してお り,IC により原子炉圧力が制御出来ていたことから,当該ラインを元に戻し た。HPCI は,自動起動可能な状態であることを確認し,他の運転操作や監視に専念した。また,今後の HPCI や主蒸気逃がし安全弁の動作に備えて, 15:07,15:10 に格納容器冷却系 2 系統を起動し,圧力抑制室の冷却を開始した。」とある(3頁)。 

 HPCIの活用が一応頭の片隅にはあったのであろうか(手順書第1章原子炉スクラム事故)「1-1B-1」にHPCIのテスト運転についての記載はある(ただし本件は「地震」によるスクラム停止+外部電源喪失)。また1号機と2号機の運転員は同じ中央制御室にいるのであり、2号機の運転員も1号機においてHPCIがテストラインではあるが運転されたことは認識できたはずである。いずれにしてもHPCIが活用されることなく(むしろ使いたがらずに)津波の襲来を迎えたことになる。せめてテストラインでの運転だけでも継続すべきではなかったか(55℃/Hの制限の過度な尊重など非常時であるにも関わらず炉を守ることが優先されている感がある)。