










東電の平成23年7月8日報告書による3.11の津波の浸水過程である。
■ 福島第一原子力発電所 遡上した津波の水位及び流況の時間変化 (参考資料4) (福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における2011年東北地方太平洋沖地震により発生した津波の調査結果に係る報告書(その2)のうち「敷地内外における津波調査」及び「津波の特徴に関する分析結果」を除いたもの) https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3537352/www.nsr.go.jp/archive/nisa/disclosure/kaijiseikyu/files/39/39-5.pdf
確かに東側からも10メートル盤に浸水があるが,やはり南東からの浸水が特に4号機・3号機・共用プール建屋に大きな影響を与えているように見える。なお,1号機の浸水は1号機の北側からの浸水の影響が大きいようにも見える。
そして南側から侵入した津波が4号機、3号機の西側に周りこんでいる。
建屋の西側からの浸水は南側から流入した津波の影響が大きいように見える。この建屋の西側の水は時間が経過した後も東側、海側の水よりも長い時間滞留しているように見える。


ところで明治三陸試算を前提に防潮堤を作成しても東からの浸水は防げなかったとする稚拙な東電平成28年試算の塗り絵でも南東と1号機北側に防潮堤は設けている。最高裁はこの防潮堤があっても3.11は防げなかったとするが,南東側の防潮堤と1号機北側の防潮堤があれば,3.11の津波の侵水経路は大きく異なったはずである。4号機・共用プール建屋そして3号機,あるいは北側に申し訳程度に見える防潮堤でも1号機への浸水はある程度軽減されたのではないか。また、西側からまわり込んだ水の浸水も軽減されたのではないか。そうすると3.11の時よりも機能維持できた電源設備があり,事故はかろうじて防げたのではないか。この点の解明が無いまま判決は下せないはずである。
なお怪しげな東電平成28年試算では1号機北側にO.P+12.6mの防潮堤がシミュレーションされているが試算根拠は全く不明である。もともと1号機周辺の10メートル盤には津波は浸水しないはずであるのに、南に防潮堤を建てると何か影響があるのであろうか・・・(だからこそ、南側「のみ」防潮堤論はおかしいのであるが・・・)。
この1号機北側の防潮堤ももう少し高い防潮堤であれば3.11の際の1号機周辺の津波低減効果も更に異なるはずである。
結局、令和4年6月18日最判は、おそらく原子力を推進する専門家から見ても、あまりにもレベルの低いものだと感じられていると思う。まだまだ未解明な点が多すぎるのである。