電気火災の考慮

 日本原子力技術協会は平成19年7月に「原子力施設における 台風等風水害対策の考え方について」を公表しています【関連ブログ】

 この中に、電気火災についての記載もあります。

 

 (8)電気火災の考慮

 溢水によりメタクラ、ロードセンター、コントオールセンターなど電気火災となる可能性があるため、停電操作が必要となる状況を整理しておく。その際、原子炉停止・冷却操作を考慮して手順および停電操作開始時間を定める必要がある。(11頁)

 

 表5-2:風水害の種類とプラント内外へ及ぼす影響(8頁)には、台風・大雨・暴風などと並んで津波の欄があり、溢水により、設備の水没だけでなく電気火災の記載もあります。 

 

 最判令和4年6月17日における草野裁判官の補足意見には以下の言及があります。

 

「例を挙げるならば、本件仮定の下においては電気設備類の一部が浸水した状態で外部電源から本件各原子炉施設内に電力が供給され続けた可能性があるところ、その過程において、浸水した電気設備類の内部配線等がショートして火災が発生した可能性がないとはいえない。」

 

 東京電力福島第一原子力発電所1号機では1985年8月31日に起動用母線電源盤が焼損する事故が発生しているが、台風による雨水のダクト内への侵入と短絡が原因とされています。

 

 東電平成20年試算により敷地高を超える津波が想定できた場合には、配電盤等に浸水する可能性が想定できたのであり、消防法の観点からも即時の対策は不可避となったのでないでしょうか。

 

福島第一原子力発電所の津波による 非常用交流電源喪失についての追加検討

■子供の科学のWEBサイト「なぜ電気の機械は水につけたら壊れちゃうんですか?乾いたらまた使える?

消防法に基づく電気設備に 対する諸規制