◇要約
・技術基準適合命令と一時停止命令が同時になされている。
・技術基準適合確認実施計画をまずは策定し保安院が技術基準に適合していることを確認する
・実施計画について福井県・美浜町の了解を得てから工事に着手
・工事完了後に保安院の立ち入り検査を受ける
・保安院による技術基準適合確認・一時停止命令の解除
・福井県・美浜町の運転再開の了解を得る
◇福島第一原発訴訟にあてはめると・・・
仮に技術基準適合命令が発せられた際は一時停止命令も出される。最高裁のいう南側のみ防潮堤といういびつな津波対策がなされる際には、東電が策定する実施計画について保安院が技術基準に適合するかを確認する。さらに地元自治体の了解が得られて工事が着手される。工事完了後、保安院の立ち入り検査を得て技術基準に適合することが確認されて一時停止命令が解除される。さらに地元自治体の了解が得られて再稼働となる。
4メートル盤の海水ポンプ等重要機器を無防備にさらけ出したまま、また、東側から10メートル盤への浸水についても何らの対策もしないまま、「南側のみ防潮堤」施工計画について、保安院や地元が計画段階や完了時に同意をしたであろうか。東電設計の平成20年津波数値計算についても更に数値計算が多数行われ厳格な吟味がなされたはずであり、溢水勉強会の成果や貞観試算も踏まえた場合に、「南側のみ防潮堤」で保安院はともかく地元が同意したとは思われない。しかも東電は平成14年にはトラブル隠しがあり、中越地震への対応にも問題があり、プルサーマル計画実施も伴い地元の厳しい目があったのである。最高裁令和4年6月17日判決は技術基準適合命令を出した後のプロセスを全く考慮していない。最高裁令和4年6月17日判決は法律審である最高裁が未熟な事実認定をさらけ出している。本来は審理を事実審である下級審に差し戻して更に審理を尽くさせるべきであった。
■関電美浜発電所3号機二次系配管破損事故について
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_02-07-02-23.html
平成16年(2004年)8月9日、関西電力(株)美浜発電所3号機において、15時22分に中央制御室にある「火災報知器動作」警報等が発信した。運転員がタービン建屋内の点検を実施した結果、タービン建屋2階の脱気器の天井付近にある第4低圧給水加熱器から脱気器への給水ラインであるA系の復水配管に破口を確認した。事故発生当時、関西電力(株)および協力企業の社員計105名が定期検査の準備作業等を行っており、うち、5名が死亡、6名が負傷した。
■2004年9月30日[原子力産業新聞] 2004年9月30日 第2253号 <1面>
[関西電力] 一時停止の行政処分
https://www.jaif.or.jp/news_db/data/2004/0930-1-3.html
美浜発電所3号機2次系配管事故調査委員会の中間とりまとめ(下段記事参照)を受け、中川昭一経産相は27日、関西電力の藤洋作社長を呼び、文書で厳重注意し、同3号機の使用一時停止の行政処分を行うとともに、今年度末までに再発防止策の報告を求めた。
厳重注意は「原子力に対する国民の信頼を大きく損ない、原子力施設立地地域の住民に不安をもたらす結果となり誠に遺憾」とし、2次系配管の技術基準が長期にわたり遵守されなかったと指摘。同基準への適合を求めるため、技術基準適合命令を発し、同省が確認するまで当該電気工作物の使用の一時停止を命じた。また、同社の美浜1号機、高浜3号機、大飯2号機はすでに、定期安全管理審査でB評定を受けていたが、C評定に格下げ。併せて、同社の各種検査を特別に厳重に実施する旨を伝えた。
藤社長は、「再発防止策を報告するとともに、原子力の信頼回復に向け全社挙げて努力する」とした。
■2005年8月29日美浜発電所3号 機配管取替等の技術基準適合確認実施計画書
経済産業省殿からの「美浜発電所3号機に対する技術基準適合命令について」(H16・09・22原第18号)を受け、当社として美浜発電所3号機主復水配管(第4低圧給水ヒータ出口弁から脱気器入口までの主復水管)について以下のとおり実施する。
美浜発電所3号機蒸気タービン附属設備のうち第4低圧給水ヒータ出口弁から脱気器入口までの主復水管に係る電気工作物については、電気事業法第40条の規定に基づき、その材料及び構造が電気事業法第39条に基づく技術基準に適合するよう修理等の命令を受けた。
また、同基準に適合していることを経済産業省殿が確認するまでの間、当該電気工作物の使用の一時停止命令を受けていることから、配管取替等を実施し材料及び構造の技術基準適合確認を実施する。
■2005年8月29日 保安院
美浜発電所3号機配管取替等の技術基準適合確認実施計画に対する確認結果について
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai22kai/no1.pdf
技術基準適合命令の内容
○美浜発電所3号機蒸気タービン附属設備のうち、第4給水ヒータ出口弁から脱気器までの主復水管に係る電気工作物について、その材料及び構造が電気事業法第39条に基づく技術基準に適合するよう修理等を行い、同基準に適合していることを当省(原子力安全・保安院)が確認するまでの間、当該電気工作物の使用を一時停止すること。
6.当院による今後の確認方針
(1)取替え工事中は、美浜発電所担当の保安検査官が巡視等を行うことにより、関西電力が行う工事の状況について監視を行う。
(2)取替配管の溶接部については、電気事業法に基づく溶接事業者検査の対象であることから、関西電力が行う溶接事業者検査の状況について安全管理審査を実施する。(原子力安全基盤機構が実施)
(3)工事完了後は、電気事業法に基づき立入検査を実施。配管取替え工事が計画どおり行われたかを配管の材料、寸法検査の記録を確認するとともに、取替え配管を含む適合命令の対象となっている配管について、肉厚測定を実施すること等により、技術基準に適合しているかについて、最終的な確認を行う。
■美浜3号機、技術基準適合性に関し再立入検査実施へ
https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=11943&oversea=
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.12.05 【情報源】原子力安全・保安院/2005.12.02 発表
浜発電所3号機の配管取替工事の適切性と、配管の構造などの技術基準適合性に関する再評価結果が平成17年12月1日付けで原子力安全・保安院に報告された。
美浜3号機では、2次系配管破損事故に伴う「技術基準適合命令(注1)」への対応状況を保安院が立入検査した結果、検査箇所448ポイント中17ポイントについて、関電の肉厚測定値と保安院側の肉厚測定値に大きな食い違いがみられたため、保安院が関西電力に測定内容の再評価を行うよう指示していた。
関電の再評価内容は、(1)測定ポイントを示すマーキングが不揃いだったことにより保安院側と関電の測定ポイントがわずかにずれ、その部分の配管内面に傾斜があったことから測定値に食い違いが出た、(2)保安院側の測定機器と関電の測定機器の探触子の直径に差があり、両者の測定ポイントに食い違いが出た--というもの。
報告を受けた保安院はこの再評価結果を妥当と判定。17年12月5日に再評価結果の確認のため、再度立入検査を行う方針を決定。12月2日にそのむね公表した。
(注1) 3号機に対する「技術基準適合命令」は、16年9月に経産大臣が関電取締役社長に対し文書で命じた内容で、「3号機蒸気タービン附属設備のうち、第4低圧給水ヒータ出口弁から脱気器までの主復水管に係る電気工作物について、その材料・構造が電気事業法39条の技術基準に適合するよう修理などを行い、同基準に適合していることを国が確認するまでの間、該当箇所の使用を一時停止する」よう求めていた。【原子力安全・保安院】
(注2)
2005年10月31日「美浜発電所3号機 配管取替等の技術基準適合確認の実施報告書」の提出について
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2005/1031-1j.html
<これまでの経緯>
(平成16年)
9月27日 : 経済産業省 原子力安全・保安院から、当該配管について、技術基準適合命令を受ける。
(平成17年)
8月4日: 配管取替工事等の計画をとりまとめた「美浜発電所3号機 配管取替等の技術基準適合確認の実施計画書」を策定し、経済産業省 原子力安全・保安院、福井県および美浜町等に同計画書を提出する。
8月29日:同計画書について、福井県原子力安全専門委員会において、原子力安全・保安院から「技術基準に適合しないものではない」との見解を得る。
9月8日:福井県および美浜町から工事着手について了承を得る。
9月9日~10月19日:当該配管の取替工事
9月9日~28日:取替作業
10月5日~6日:耐圧試験
10月11日~19日:肉厚測定・評価
10月31日: 「美浜発電所3号機 配管取替等の技術基準適合確認の実施報告書」を、経済産業省 原子力安全・保安院、福井県および美浜町等に提出する。
■美浜3号機、技術基準適合性を確認 再立入検査で
【エネルギー 原子力】 【掲載日】2005.12.06 【情報源】原子力安全・保安院/2005.12.05 発表
https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=11954&oversea=
原子力安全・保安院は平成17年12月5日、関西電力(株)美浜発電所3号機への再立入検査の結果、同機の配管取替工事の適切性と、配管構造などの技術基準適合性を確認したと発表した。
美浜3号機では、2次系配管破損事故に伴う「技術基準適合命令(注1)」への対応状況を保安院が17年11月に立入検査した結果、検査箇所448ポイント中17ポイントについて、関電の肉厚測定値と保安院側の肉厚測定値に大きな食い違いがあることが判明。
関電はこの食い違いについて、「測定ポイントを示すマーキングが不揃いだったり、保安院側の測定機器と関電の測定機器の探触子の直径に差があったことが原因で発生した」とする再評価結果を17年12月1日に保安院に提出。
報告を受けた保安院がこの再評価結果の確認のため、再立入検査を行っていたもの。
(注1) 3号機に対する「技術基準適合命令」は、16年9月に経産大臣が関電取締役社長に対し文書で命じた内容で、「3号機蒸気タービン附属設備のうち、第4低圧給水ヒータ出口弁から脱気器までの主復水管に係る電気工作物について、その材料・構造が電気事業法39条の技術基準に適合するよう修理などを行い、同基準に適合していることを国が確認するまでの間、該当箇所の使用を一時停止する」よう求めていた。【原子力安全・保安院】
■関西電力株式会社美浜発電所3号機に対する立入検査の結果及び技術基準適合命令に基づく確認結果について
平成17年12月19日原子力安全・保安院
1.概要
関西電力(株)美浜発電所3号機については、平成16年8月に発生した二次系配管 破損事故に伴い、電気事業法に基づく技術基準適合命令により、事故部位周辺の配管に ついて、技術基準に適合するよう工事等を行い、同基準に適合していることを当院が確認するまでの間、電気工作物の使用を一時停止するよう命じた。
本命令に対し、関西電力は技術基準に適合するよう工事等を行い、平成17年10月31日をもって、美浜発電所3号機配管取替等の技術基準適合確認実施報告書(以下、 「報告書」という。)が経済産業大臣へ提出された。
当院は、報告書の提出を受け、配管取替工事等の適切性及びその結果並びに当該電気工作物の材料及び構造が技術基準に適合しているかを確認することを目的として、関西電力美浜発電所3号機に対して、電気事業法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき、平成17年11月10日、11日及び12月5日に立入検査を実施した。
その結果、平成17年12月5日の再実施分をもって、当該電気工作物の材料及び構造は技術基準に適合していることが確認できたため、関西電力に対して、その旨を通知した。
なお、これにより、平成16年9月27日付けの技術基準適合命令により、配管破損部位付近の配管に係る電気工作物の使用を一時停止するよう命じた件については、解除されたことになる。
■福井県平成18年5月26日原子力安全対策課(18-14)
<15時30分 > 記者発表美浜発電所3号機の運転再開の了承について