平成22年10月27日付原子力安全・保安院の「東京電力(株)福島第一原子力発電所3号機の 定期検査及び使用前検査について」によると3号機については同月26日に定期検査終了証が交付されたとのことである。
この定期検査終了証の交付による再稼働により、3号機では初のMOX燃料を装荷したプルサーマル発電となった。
福島県は「耐震安全性の確保」「高経年化の実施」「長期保管MOX燃料の健全性の確認」の技術的3条件が満たされているとして地元了解をしていた。
[原子力産業新聞] 2010年8月12日 第2538号 <1面>
[原子力産業新聞] 2010年9月23日 第2543号 <1面>
■平成22年8月6日福島県知事「福島第一原子力発電所3号機プルサーマル実施受け入れに係る知事発言要旨」
もっとも東電は平成20年津波試算や貞観試算を地元自治体に秘し、チリ津波による押し波によっても4メートル盤のポンプの安全性に問題はないと説明していた。保安院も東電が耐震バックチェックの報告が遅れているにも関わらず、津波対策がなされていないにも関わらずプルサーマル実施を急ぎ、漫然と定期検査終了証を交付した。
東京電力は平成22年7月12日付「福島第一原子力発電所 3号機 耐震安全性について (補足説明資料)」において福島県からの津波の安全性に対する質問に対して以下の通り回答している。
しかし、平成20年試算や貞観試算には触れていない。福島県原子力発電所安全確保技術連絡会には保安院からも出席があると思われるが、保安院もチリ津波を設計津波とした説明を黙認している。


なお、保安院は平成22年3月4日に「2010年2月に発生したチリ地震による津波の原子力発電所への影響について」を公表している。最新の知見に基づく津波の影響については耐震バックチェックの最終報告で行うとして問題を先送りにしている。すでに保安院は貞観津波試算を東電から提供を受けていた。少なくとも4メートル盤のポンプの浸水対策は不可避であることは明確であり、技術基準に適合しない状態であったのであるから、福島県の技術的三条件を満たさないことは分かっていたし、定期検査に合格させるべきではなかった。

