福島県沖・佐渡島北方沖地震の信頼度もC?

 政府の地震調査研究推進本部の長期評価には「プレートの沈み込みに伴う大地震に関する長期評価の信頼度について(平成15年3月24日)」が付されており、信頼度「C」というアルファベットだけが独り歩きしている感がある。裁判では、三陸北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)の信頼度が「C」であるから、敷地高10メートルを超える津波の予見可能性の程度が消極的に解されることもある。

 しかしながら、訴訟以前に、長期評価の信頼度が「C」であるから採用しないとか「A]であるから採用するとか、信頼度に言及した採否の議論に接したことはない。訴訟対策として信頼度「C」が独り歩きをはじめ、国・東電の責任を否定する論理に使われてしまっている感がある。

 そして、東電が近地津波のモデルとして採用していた福島県沖のプレート間地震(土木学会領域7)も信頼度は「C」である。正確に言えば「発生領域の信頼度」が「C」であり、それ以外の信頼度は三陸北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)の信頼度よりも更に低い。それでも想定津波モデルとして採用されている。

 ところで政府推本の「日本海東縁部の地震活動の長期評価について」(平成15年6月20日)では、佐渡島北方沖地震について下記のとおり評価されている。

 評価の信頼度は総合で「C」であるし、発生確率は30年以内に3~6%である。

 しかし東電は柏崎刈羽原発の津波評価(東電の平成20年11月18日付「柏崎刈羽原子力発電所 「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」 の改訂に伴う耐震安全性評価 地震随伴事象に対する考慮 津波に対する安全性」)においては、佐渡島北方沖地震について土木学会2002の範囲を超える長期評価の領域も含めた上で、これを津波評価に用いている。

 結局、土木学会2002に採用されている領域については、東電も信頼度など問うことなく津波評価に用いている。そしてこの津波評価を国も当然認識した上で、妥当であるとの評価をしている。

 東電平成20年試算において領域⑨とされる三陸北部から房総沖の海溝寄りのプレート間大地震(津波地震)だけが「信頼度C」だから予見可能性を基礎づけないというのは、裁判所が国・東電の術中にはまった、文系の弱さにつけ込まれたと言わざるを得ない。