ほとんどのケースで技術基準に適合していないこと

  東電平成20年試算ではプレート間(津波地震)モデルで15ケース、プレート内(正断層)モデルで15ケースの概略パラが行われている。

 このうち1号機から4号機まで4メートル盤を超えるケースはR9-01・R9-02・R9-03・R9-04・R9-05・R9-06・R9-07・R9-08・R9-09の9ケース、一部でも超えるケースはR9-13を除く14ケースである。南側で10メートルを超えるケースはR9-01・R9-02・R9-03・R9-04・R9-05・R9-06・R9-07・R9-08・R9-09・R9-09・R9-10・R9-11・R9-12の12ケースである。あくまで概略パラであり、また平均朔望満潮位ではない試算である。これらについて、上縁深さ3パターン、傾斜角3パターン、すべり角3パターンの詳細パラをしても4メートル盤・10メートル盤を超えるケース数がほとんどであろう。パラメータスタディを尽くさなくとも、少なくとも既存の施設は技術基準に適合しておらず何らかの津波対策は不可避であることは明白であった。

 正断層モデルでも概略パラでR10-01・R10-04・R10-05・R10-06の4ケースで1号機から4号機で4メートル盤を超えるし、一部でも超えるケースはR10-02・R10-07・R10-08・R10-10・R10-12を加えた9ケースとなる。南側で10メートルを超えるケースはR10-01・R10-04・R10-05・R10-06の4ケースである。これもあくまで概略パラ段階であるし、朔望平均満潮位の場合でもない。

 同様に房総沖試算でも多くのケースが4メートル盤と南側10メートル盤を超えることになる。パラメータスタディを尽くさなくとも福島第一は4メートル盤と南側10メートル盤から津波による浸水のおそれのある技術基準に適合しない施設であったことは明白である。貞観試算でも4メートル盤を超えることは明らかであるし、パラメータスタディをすると2~3割増しとなり10メートル盤を超えるケースも出てくるはずである。

 もちろん対策工をするためには波源モデルを確立することが求められるかもしれないが、波源モデルが確立しない間は技術基準に適合しない原発の稼働が許容されるというのは本末転倒である。これだけ多くのケースで浸水するのであるから、その間は、稼働を停止し、波源モデルの確立と対策工の完了を待って再稼働するのが筋である。

 明治三陸を福島沖に持ってくるのか、南から房総沖を持ってくるのかはともかく、いずれにしても4メートル盤と南側10メートル盤からの津波浸水により技術基準に適合しないことは概略パラ段階で明白であるし、パラメータスタディを尽くさなくても明らかであった。貞観津波についても同様である。具体的な波源モデルはともかく、波源を福島沖におくことは不可避となった段階で、福島第一は技術基準に適合しないことは専門家には明白になっていたはずである。

 これらは耐震バックチェック下で東電において判明していた調査結果であったし、保安院はその報告を徴収する権限を有していた。