1677年房総沖想定津波の検討


 東電設計は平成20年延宝房総沖地震をモデルにした想定津波の試算も行っている。日本海溝沿いでどこでも起こるプレート間津波地震について明治三陸地震よりもなるべく低い試算が出るモデルを採用しようとしたフシがある。


 試算の結果,波源位置「中央」走向「-5度」で概略パラで最高水位となった「R9-BL-07」モデルで詳細パラを行い,上縁深さ「2㎞」傾斜角「25°」すべり角「+10°」の「R9-BL-07-1」で最高水位となり「朔望平均満潮位」で再計算をした南側で13.552メートルを試算している。なお,1号機から4号機の4メートル盤上の取水ポンプでは7メートル前後となっている。

 ここで注目したいのは,最高水位となるパターンだけに着目するのでなく,他のモデルでも多くで概略パラ段階で南側では10メートルを超えているし,4メートル盤上の浸水も明らかなことである。高い水位を予見できたかではなく,日本海溝沿い,福島沖に,明治三陸にしろ,房総沖にしろ波源を設けると概略パラ段階でも,波源位置や走向をどこに設けるにしてもその多くで,南側では10メートル盤を超えるし,4メートル盤は浸水する結果となるということである。

 さらに土木学会2002の南側に波源を設けた場合でも南側では10メートル盤を超えるし,4メートル盤も超える試算となっている。

 明治三陸試算・房総沖試算と貞観試算を踏まえると,正確な波源モデルが確定しなくとも4メートル盤は浸水するし,10メートル盤も南側では浸水するから,技術基準に適合しない状態であったことは明らかであった。

 国は,貞観試算を示された際に,東電に推本の見解を踏まえた試算がどのようになっているのか電気事業法106条に基づき報告徴収権限を行使し,東電は長期評価試算も報告することにより,その後の平成22年の定期検査時には4メートル盤と南側10メートル盤の津波対策がなされず技術基準に適合しないまま定期検査が終了し再稼働することにはならなかったのである。