平成22年10月26日3号機プルサーマル使用前検査(電気事業法49条)合格証交付の違法

 電気事業法49条1項は公共の安全の確保上特に重要な者は、その工事について経済産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならないと定めている。そして同条2項2号は技術基準に適合しないものではいことを合格の要件としている。

 なお、電気事業法施行規則71条の3は「経済産業大臣は、使用前検査に合格したと認めたときは、当該申請に係る使用前検査合格証を交付する」と定めている。

 ところで保安院は平成22年10月26日にプルサーマル運転実施となる福島第一3号機について「原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所第3号機の第24回定期検査を行っておりましたが、本日、全ての検査が終了したと認められたことから、東京電力に対して電気事業法施行規則第93条の3の規定に基づき定期検査終了証を交付しました。また、今定期検査期間中において実施されたウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX)装荷に係る使用前検査について、全ての検 査が合格したと認められたことから、同規則第71条の3の規定に基づき使用 前検査合格証を同日交付しました」と公表している。  

※平成22年1 0月2 6日原子力安全・保安院「東京電力株式会社福島第一原子力発電所第3号機の定期検査終了証及び使用前検査合格証の交付について

https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1262865/www.meti.go.jp/press/20101026002/20101026002.pdf

 保安院平成22年10月27日「東京電力(株)福島第一原子力発電所3号機の 定期検査及び使用前検査について」 

 なお、保安院は福島県がプルサーマル実施に際して求めていた技術的三要件についても「平成21年6月19日に東京電力より提出された、「福島第一原子力発電 所 『発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針』の改訂に伴う耐震安全性評価結果中間報告書」のうち3号機に関して、主要な施設の耐震安全性の評価結果ついて、耐震・構造設計小委員会の下に設置した構造ワーキンググループにおける審議等を踏まえ、妥当であると評価し、本日付けで東京電力に通知しました」などとしていた。

※保安院「平成22年7月26日資源エネルギー庁 原子力安全・保安院福島第一原子力発電所3号機のプルサーマル実施に係る技術的条件の確認について

 もっとも耐震・構造設計小委員会合同ワーキンググループでは岡村行信委員より貞観津波について対策が必要な旨が述べられており、国もそれを意識していた。

 ※LEVEL7 平成22年4月28日大臣レク資料

 

 しかし、国は福島県知事にはその旨は伝えていなかった。

 ※北國新聞「福島原発事故前年失われたチャンス

 

 国は東電が福島県等との福島県原子力発電所安全確保技術連絡会において津波については平成14年試算に基づいて安全性が確保されていると説明していることも認識している。

 しかし、国は東電より貞観試算を受け取っており、最新の知見を地元に説明していないことも認識していた。東電は長期評価試算や延宝房総沖試算も秘していた。仮に知見が確定していないから直ちに対策をする必要はないと東電や国が(勝手に)考えたとしても、その旨を留保して地元に明らかにするのが自主・民主・公開の原則に沿う態度である。

 ※ 参照 添田孝史「2008〜2011年、国と東電、貞観津波を葬る

 そして、3号機の使用前検査の時点では、3号機は技術基準に適合していないことが判明していたのであるから、合格証の交付はできず、3号機の使用は電気事業法49条1項により許されなかった。3号機の不合格は、当然同時期に定期検査を受けていた1号機・2号機にも影響は波及するのであるから、1号機ないし3号機も津波対策(仮に南側のみ防潮提と4メートル盤ポンプ浸水対策)無しには稼働はできず、平成23年3月11日には福島第一の全ての原子炉が停止していたはずであるから、本件事故は防ぐことができた。技術基準に適合しない3号機に定期前検査合格証を交付し使用を認めた作為違法により事故が生じたのである。

 国策であるプルサーマル実施に前のめりとなり安全対策や情報公開がおざなりになったこと、津波試算が地元に隠ぺいされたことが事故の原因であることを、最高裁判例のロジックに置き換えるとこのように表現することもできる。